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2007年9月 9日 (日曜日)

なぜ「信濃川」が「日本一長い川」なのか

日本で一番長い川は「信濃川」です。長さは367kmあります。二番目は「利根川」で322km、三番目は「石狩川」で268kmです。ところが、これに異を唱える人も結構いると思います。
本来、河川というものは常に同じところを流れているわけではなく、大雨などで川が氾濫するたびに流路が変わったりしていました。また、人々は洪水をくいとめるため、治水事業を長年にわたり行ってきました。新たに水路を作ったりしながら、河川を治めてきました。その結果として、現時点での河川の長さに順位をつけているにすぎません。石狩川は、曲がりくねった川をまっすぐにしたため、現在は100kmほど長さが短くなったといいます。もともとは日本で一番長かったかもしれないほど長かったものが、現時点では三番目ということになっています。
信濃川は、大河津分水(大正11年通水)ができて、現在の信濃川下流は「旧信濃川」と呼ばれるようになり、信濃川の本流は大河津分水の河口までとなりました。つまり、この時点では信濃川の長さはいまより50km程短く、利根川が日本で一番長い川でした。昭和45年に河川名が改称され、旧信濃川の河口が信濃川の河口という現在のかたちになっています。ここで、信濃川は日本で一番長い川となりました。
「信濃川」は新潟県での呼び方で、上流の長野県では「千曲川」と呼びます。明治29年からそうなっています。千曲川と呼ばれる部分は214km、信濃川と呼ばれる部分は153km。千曲川と呼ばれる部分の方が長いのです。しかし、河川の名称は河口部の名称を使うので、日本で一番長い川は「千曲川」ではなく「信濃川」となっています。また、河口から源流までを河川の長さとするので、千曲川と信濃川をあわせた長さが信濃川の長さとなります。このことに納得しない人が一番多いと思います。
信濃川は新潟県を代表する河川のひとつです。「越後川」や「新潟川」と言ってもおかしくない河川ですが、上流にちなんだ「信濃川」という名前になっています。流れる地域をさして「信越川」という名前が一番適当かもしれませんが、そういう名前にはなっていません。なぜ「信濃川」という名前になったのか、単に信濃の国から流れてきているからという理由だとは思いますが、なぜ越後や新潟の名前をつけなかったのかは分かりません。
こうして、「信濃川」という名前の河川が、日本で一番長い川ということになっています。以上のことから、そこには明治期以降のいくつかの政治的な作為も感じられなくはありません。

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